人の為に何かができる素晴らしさが自分の成長につながる

Mさん30歳)は、社会福祉法人はる運営の就労継続支援B型「パイ焼き茶房」で、働いています。 就労継続支援B型とは、障がいのある人に、就労の機会や就労に必要な技術などを教える福祉支援事業です。

「パイ焼き茶房」では、主に心に病をもつ方が利用者として施設を利用しています。

 お店唯一の技能職員として、支援員とメンバーの間を取り持ち、お店の運営を支えているMさんに、お仕事や働くことを通して得られた変化などをお伺いしました。

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_まずは、お仕事内容を教えてください。

パイ焼き茶房は、客席数25席程の喫茶店で、ケーキやドリンク、軽食のほかテイクアウトの販売も行っています。

通常、利用者34名、職員2名、技能職員である私とボランティアで運営しています。

職員は、主に利用者支援や事務仕事をしていることが多いため、接客・調理・販売は利用者私で行っています。利用者お店の仕事を教えることも、私の役目です。

_いつからパイ焼き茶房で働いているのでしょうか?

パイ焼き茶房は今年で20周年ですが、私は2010年から利用者して働き始めました。

最初は厨房での皿洗いや雑用が多かったですが、元々人と話すことが好きで接客を志望していたので、入って半年くらいから接客業務をするようになりました。

技能職員になったのは3年前くらいです。その頃パイ焼き茶房では、もっと積極的に利用者が業務に関わる環境作りが始まると共に、方針の転換もありました。その中で、店舗業務全てわかり、技術を認められ技能職員になりました。 

%e3%82%a2%e3%83%83%e3%83%97%e3%83%ab%e3%83%91%e3%82%a4            名物のアップルパイ。世田谷産のりんごたっぷりの地産地消のお菓子。ホールでも売っている。

_仕事のやりがいについて教えてください。

元々人と話すことが好きで、接客を志望していましたので、お客様に喜んで頂けることは嬉しいです。技能職員として、利用者へ仕事を教える立場になったことで新たなやりがい感じています。

利用者さんは、それぞれに心の病を抱えており、極度の緊張や恐怖で、自ら動くことが出来ない方もいらっしゃいます。

私自身も当事者なので分かりますが、自信喪失から自分を肯定できず、他者との間に壁を作っている方も多いです。仕事を教える時は、当事者のやりたいことを感じとり、出来た時状態を想像しながら接するようにしています。

例えば、明るく話しかけたりすると、相手の気持ちも和らぎます。そうやって利用者さんとの信頼関係を築くことで、彼ら自身に働くことへの自主性や楽しさも同時にばかりのこ伝えることが出来てるように思います。

以前利用者さんから「Mさんみたいになりたいから、頑張っています」と言われた時は本当に嬉しかったです。苦労することも勿論ありますが、それも含めてやりがいを感じています。

_今では技能職員として、仕事を教える立場ですが、始めたばかりの頃はどうでしたか?

最初は本当に大変でした。

私は統合失調症という精神の病を抱えています。集中力の欠如や対人コミュニケーションがとりにくいという病状があります。仕事が分からず教えてもらいたくても話が出来ず中々仕事を覚えることができません。

何より最初は全く自信がなく、自分がやってはいけないのではないか自分が何かをすると迷惑をかけるのではないかと恐怖ばかりが先だち、自ら動くことが難しくとてもつらかったです。 

%e3%81%8a%e8%8f%93%e5%ad%90          店頭販売の他、地域のイベント等に出展することもある

_その気持ちを、どうやって克服したのでしょうか?

「仕事がしたい」「負けたくない」という気持ちが強かったです。 

私は19歳の時に病気に発症しました。

病気になるととても孤独で、今まで出来ていたことが出来なくなり自分に絶望もします。心の病は目に見えないので、周りに病状を理解してもらうことも難しいです。 

病状として意欲の減退や思考の低下があげられますが、落ち込むことも非常に多く、友人に相談しても「どうせできないでしょ」と否定されることもありました。

そうした経験もあって、パイ焼き茶房で働き始めて動けない自分を感じた時に、ここで何もできなかったら、ずっと自分は変われない、どうにか前に進みたいと自分を奮い立たせました。

また、「できない」とレッテルを張られてしまう自分が悔しくて、病気があっても出来ると証明したいという気持ちもありました。

_具体的には、どのように取り組んだのですか?

最初は、とにかく職員さんと話すようにしました。

常に怖がる自分がいましたが、なにくそ」とそのバネにして、少しずつでも出来ることを増やそうと考えました。

それから、お店全体を見渡すようにを心掛け「ここがいま、手が足りていないな」と気付けるように意識的に練習をしました。それも、回数を重ねて出来るようになりました。

でも一番には、「失敗しても良い」と半ば開き直っていたようにも思います。(笑) 

%e9%bb%92%e6%9d%bf           お菓子は全て、社会福祉法人はるが運営する、福祉施設「パイ焼き窯」で手作り

_働き始めて、自分の中で変化はありましたか?

まずは気持ちが大きく変わりました。

最初は、自分に自信がなく、人と話すことも怖かったですが、徐々に出来ることが増えてくると、やっぱり楽しいし、自分に肯定的になれます。更に今はできないことでもやってみよう、やれば出来ると自信につながっています。病状も安定してきました。

自分に余裕ができると、周囲のことを考えることができるようになりました。これは、技能職員にステップアップしたことも大きいかもしれません。

最初は、「負けたくない」と負けん気が大きかったですが、いまは人のために何かを出来ることの素晴らしさがモチベーションにもつながっています。 

_生活面ではどうでしょうか?

お給料を頂いて、自分の好きなことができるので生活も楽しくなりました。

以前は出かけても、辛いことばかり考えていましたが、気持ちも安定しお休みの日や友人・家族との時間も楽しめるようになりました。

_障がいがある方の社会参加という意味では、施設への通所などもあります。「働く」ことでしか得られないことはあると思いますか?

障がいの有無は関係ないと思いますが、仕事をすれば嫌なこともたくさんあります。それでもやらなきゃいけないし、その中でいかに楽しく過ごすかを考えるのは、仕事でないと得られない経験だと思います。

それに、技能職員として人の成長に関わることは、私にとって素晴らしい経験になっています。 

%e9%99%b6%e5%99%a8          他の福祉施設や工房の商品も陳列

_今後の目標を教えてください。

私は、病気になったからこそ気づいたことが、沢山あります。

当たり前の生活の大切さ、今を楽しむこと、支えてくれる人のありがたさなどは、病気になる前はそれほど意識していなかったように思います。それは、まず自身自分のネガティブな部分を受け入れられたことが大きいと思います。

今後は、経験を活かして福祉関係での一般就労を目指したいです。

_このサイトでは、当事者や関係者の声を伝えることで、障がいのある人の「働く」について考えるきっかけづくりを目指しています。最後に、メッセージをお願いします。

私の持つ、統合失調症という病気は約100人に1人が発症すると言われている、決して珍しくない病気です。

きっと、皆さんの周りにもいらっしゃるのではないかと思います。でも、中々言い出しにくい状況もあり、恐らくは接する機会は少ないのではないでしょうか。接する機会が少ないと、わからないことが多く、気を使いすぎたり距離をおいたりするかもしれません。 

私が皆さんにお伝えしたいのは、「病気の前にひとりの人である」ということです。

接することで、違うところ、同じところなど初めて気づくことや思い込みに気づくかもしれません。

「障がい者だからこうだろう」とか「病気だからきっとできない」など、決めつけないで普通に接してもらえればと思います。

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パイ焼き茶房は、東急大井町線「尾山台駅」の商店街にあります。

私が訪れた日は、丁度お昼時でもありお客様がひっきりなしに来店していました。客層は、会社員の方、ベビーカーでお子様連れ、ご年配の方、ひとりランチなど様々で、広い店内は車椅子やベビーカーも難なく入り、それぞれに寛ぎゆったりとした雰囲気だったことが印象的でした。

【パイ焼き茶房】

東京都世田谷区等々力2-18-1 10:00~19:00 定休日曜(祝日の場合もあり)

パイ焼き茶房ウェブサイトはこちらパイ焼き茶房ウェブサイトはこちら

 

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