障害者差別解消法施行!「合理的配慮」って、一体どんなこと?

日々、社会が変化する中で、私達の生活に関わる、とても大事な法律や取り決めが、いつの間にか始まっていたなんてことありますよね。

2016年4月より施行した「障害者差別解消法」について調べてみたら、関係者だけではない、私達の生活や職場でも、とても大切なルールだとわかりました。

キーワードとなっている「合理的配慮」について、簡単にご紹介します!

 

そもそも、障害者ってどんな人?

日本では、2011年障害者基本法改正でその定義が変わりました。

「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの

これまでは、身体などに障害があり医療を必要としている、個人の問題とされていました。

改正後は、心身の状態に加え、社会にあるバリアによって社会生活を阻害されている人のことを指すようになったのです。

つまり、障害者を作る要因は環境にあるということです。

例えば、足が不自由で車椅子を利用している場合、それだけでは定義に当てはまりません。スロープがなく、駅に入れないなど行動が制限される場合に障害者となるわけです。

この改正の元となったのが、2006年国連が採択した「障害者権利条約」です。障害に基づくあらゆる差別を禁止し、適切な措置を国際社会に求めました。日本は2014年に批准、この要求に具体的に応える形で生まれたのが「障害者差別解消法」です。

ちなみに、雇用分野は障害者雇用促進法改正にて、取り入れられています。

差別を禁止って、具体的に何がだめなの?

この法律の正式名称は「障害を理由にする差別の解消の推進に関する法律」です。

障害を持つ人に対し、障害を理由にした不当な差別を禁止しています。

例えば、不動産の入居を断る、レストランや施設の入店を拒否する、説明を本人でなく介助者や付添人に向かって行う、などが当てはまります。雇用促進法にはなりますが、障害を持っていることは、入社不採用の理由にはなりません。

対応を求められた場合、双方が対話し過重な負担のない範囲で合理的に配慮を行い対応しなさいね、というのがざっくりとしたこの法律の骨子です。

ちなみに、行政機関は法的義務、民間企業などの事業者は努力義務が課せられています。(雇用促進法の場合は、雇用者である事業主も法的義務)

 

障害者と対応者の問題解決策、「合理的配慮」ってどんなこと?

では、「合理的配慮」とはどんなことでしょうか。特徴である7つの要素を説明します。

①    個々のニーズ

障害といっても多様です。同じレストランでの対応でも、段差があるために入店できない車椅子の方と、視覚障害があるためにメニューが読めない方、店員とコミュニケーションがとれないろう者の方では全く配慮すべき内容が異なります。

合理的配慮では、一概にこう、ではなく個別の対応を求めています。

似たようなケースで、車椅子の方の来店に備えて予めスロープを設置することは、ここでいう「合理的配慮」には当てはまりません。あくまで当事者が対応を求めてきた時に、対話を始めれば良いとしています。

②    非過重負担

配慮する内容は、無理のない範囲で良いということです。

例えば、ろう者に接客する際、本当は手話通訳者がベストですが、その為に雇用することは店側の負担があまりに大きい場合、できる範囲で対応すれば良いとしています。

③    社会的障壁の除去の実施

要求を妨げている社会的障壁を、きちんと除去し意向が達成できるようにしてくださいね、ということです。②のろう者の例で言うと、手話通訳者の代わりに、コミュニケーションボードを設置して意思の疎通を図れるようにする、などです。

④    意向尊重

目的は達成できても、当事者の意向に反する対応は避けるべき、としています。

レストランに入店は出来るけれども、裏口から通されて不快な思いをする、本当はみんなと同じ広間が良いのに個室に案内される、などが例として挙げられます。

⑤    本来業務付随

事業者側の、本来業務に付随する内容を超えての対応は、する必要はありません。

例えば、鉄道会社の駅員さんが、車椅子の方の下車時にスロープを用意することは、本来業務の延長線上ですが、そのままトイレまで案内し介助することは、求められても行う必要はありません。

⑥    機会平等

実際に、当事者の要求が達成できているか、ということです。

車椅子の方向けに簡易スロープは用意したけれども、倉庫に眠っていて機能しておらず入店できない状態は避けるべきということを指しています。

⑦    本質変更不可

例えば、レストランの照明がロウソクだけで、暗い雰囲気を楽しむことがそのお店の売りなのに、暗くてメニューが見えないからといって店内を明るくする必要はありません。その商品やサービスの本質的な提供内容を、損なわない範囲で配慮をすれば問題ないのです。

相手の「思いやり」に頼らない、社会全体で考える暮らしやすさ

「合理的配慮」に当てはまる対応は、既に実施している場合もあるのではないかと思います。

今回の法制化で特徴的なのは、個人の意向を対象とするものでありながら、法的な保証を受けられるという点です。

これまでは、対応者の個人的な思いやりや気遣いに基づき対応してもらう、とても不安定な状態でした。

そのような関係は、特に雇用の場では不本意な上下関係にも結びつきがちです。

相手のさじ加減や気持ち次第で変わってしまうことが、対応を受けられる法的根拠を得たことは、障害者にとってとても心強いことなのではないでしょうか。

 

一方で、対応する側も無理のない範囲で行うことが許されています。

「合理的配慮」の実例は、私達の日常で、今後様々に積み重なっていくことが予想されます。

障害者と対応者側の双方が、納得のいくクロスポイントが合理的配慮であれば、辿り着くまでに必要なのは「対話」です。

そして対話の背後には、ひとりの当事者を超えて、もっと多くの「配慮を求めるひと」がいるのかもしれません。

この法律を知るということは、みんなが暮らしやすい社会をみんなで考えるきっかけになるのかもしれませんね。

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【参考文献・資料】

7月16日開催 社会的障害の経済理論・実証研究(REASE)公開講座@東京大学本郷キャンパス

「合理的配慮 対話を開く、対話が拓く」 有斐閣 著・川島聡、飯野由里子、西倉実季、星加良司

外務省 「障がい者の権利に関する条約パンフレット」

内閣府 「平成27年版障害者白書(概要)」

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