【BOOK】東田直樹氏「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」

想像してみてほしい。

あなたは、どこか外国にいる。

周りは頻りに音が鳴っていて、人々の話すら騒音になる。

優しそうな誰かが、しきりに話しかけてくれて、その呼びかけに返事をしようとするけど、その人の言っていることはまるで分厚いガラスを挟んだみたいに朧げで上手に聞き取れない。

何より、あなた自身がまったく言葉が使えないということに気づき、必死に答えようとするけど何も伝えることができない。

そのうち、あなたに話しかけてくれたそのひとは暗い瞳になってほかの誰かと話し込んでしまう。

あなたは、ただただ悔しさともどかしさと悲しみでいっぱいになる。

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東田直樹作「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」は世界で非常に珍しい、重度の自閉症である東田さん本人が綴ったエッセイです。

どうして大きな声を出すのか。どうして飛び跳ねるのか。どうしてこだわるのか…

一問一答形式のようにシンプルに、自閉症の様々な症状や伝えることのできない本当の気持ちや考えをつづっています。その言葉は、自閉症の子供たちを持つ世界中の多くの親御さんの気持ちを救ったそうです。

幼少期の東田さんは、全く言葉を理解せず自ら発することもないこどもだったそうです。

そんな東田さんが、文字盤を使って気持ちを伝えることができるようになったのは、お母さんと東田さんの弛まぬ努力のお陰です。

言葉は理解していないのに、漢字をすぐに覚える直樹さんの様子を見て、内なる創造性を信じたお母さんは必死に文字盤で文字を指し示す訓練を行いました。

そして、今ではこの本やブログを執筆できるまでになり、重度の自閉症患者の気持ち私達は垣間見ることができます。

 

以前、HKで放送されていた東田さんのドキュメンタリーを見て、とても驚きました。

東田さんは文字盤を使いながらゆっくりと、でもとても思慮深く自分の気持ちを伝えていました。

気持ちが外に出る間もなく、あっという間に考えが消えてしまう自閉症患者にとって言葉を記憶に留めて伝えることはとても忍耐力のいる大変な作業です。

しかも、私達にはわからない自閉症の内面世界を私達にもわかるように書くこととても創造力が必要だと思います。

重度の自閉症となると、言葉を発さないためその内面までも未発達のように

考えられてしまいがちですが、その意識の成熟度には健常者となんら変わらないそうです。

自分の体は言うことを聞かずに勝手に動くし、視覚、聴覚などの感覚は自由勝手に振舞って

常に頭の中を占領しようとする。急に襲ってくる過去の記憶や恐怖に抗うこともできず、気持ちを出したくても言葉を発することができない。

自分が原因で家族や誰かが悲しんだとしても、自分ではそれをどうすることもできない。

「話せないということは、自分の気持ちを伝えられないということ。孤独で愛も希望もなくただ与えられた毎日を人形のように過ごすこと」

この本を読み終わる頃には、よくある自閉症の人のイメージは全く根拠のない偏見によるものだったと気づくのではないでしょうか。

東田さんの言葉は、自閉症理解を促すだけでなく、彼の内面世界の豊かさやひととしての過酷な戦いを教えてくれます。

 最後に東田さんは「自閉症についてどう思いますか?」という問いにこう答えています。

「僕は、自閉症とはきっと、文明の支配を受けずに、自然のまま生まれてきた人たちなのだと思うのです。(中略)外見上のものはすべて持っているにも関わらず、みんなとは何もかも違います。まるで太古の昔からタイムスリップしてきたようです。」

そうだとしたら、彼の存在は私に何を訴えているのでしょうか。

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